北朝鮮の核実験施設(荆楚网 www.cnhubei.com 2009年5月26日から)
昨日は、雨中にドクダミの白い花が開き、クリの花も小さくのびだした。2009年5月28日は、旧暦で5月5日、端午の節句である。
知友から朝鮮半島をめぐる長い手紙が来た。以下に、問答形式に変えて提示する。
Aさん、ご多用のところ、長文のご感想ありがとうございます。
― おっしゃるように、北朝鮮は、国家の存亡を、内外ともに賭けているように思います。でも、朝鮮半島の非核化の第一歩になるでしょうか。国家に核兵器を持つなということは今の世界では、強制できないのではないでしょうか。決議を百挙げてみても持つと決めたらそれを認めたうえで仲間としての核の保存、使用のルール作りに参加させるかしかできないのではないでしょうか。北が参加しないと言っているのですから、手を焼いているのですね。
まず背景です。今回の事態に至るまでに、アメリカの東アジア専門家から、北朝鮮を冷静に分析してみたほうがいい、という非公式の示唆が、年頭にありました。そこで、1月に金正日のプロファイルを作成し、2月まで中国サイトで関連情報を収集してみました。
この結果を、韓国の友人にも送りました。
さらに、5月の連休明けに、アメリカの東アジア専門誌『アジア・パシフィック・ジャーナル:ジャパン・フォーカス』にロシア人外交専門家の平壌訪問後の分析記事「新たな朝鮮半島の冷戦と緊張緩和の可能性」が掲載され、さらに『アジア・クロニクル』で、「北朝鮮の忘れられたジャーナリストたち」が掲載されました。前者は、六者協議による外交でしか問題解決の道がないのに、なぜ日本だけがミサイルに過剰な「パラノイア」のような反応をしたのか、という内容がふくまれており、後者は、イランがアメリカ人のサベリ記者を解放したのに、北朝鮮は、ふたりのアメリカ人女性ジャーナリストを拘束して解放のめどが立っていないのに、国際世論は忘れている、というものでした。
こちらも、韓国の友人に送りました。
日本で一番のコリア・ウオッチャーの産経の黒田勝弘記者の記事にも見えない内容です。
また、連休直前に、アメリカの高官が直接、平壌を電撃訪問し、米朝直接対話を行い、連絡事務所を相互に開設する可能性が高いというアメリカの記事も読んでいました。
こうした観察からすると、今回の二回目の核実験は、むしろ北朝鮮国内向けに行なったもので、同時に対外反応を注意深く見ているというのが本当のところのように思います。北朝鮮の声明は、別添のとおり冷静で、後継者に内定している三男の正雲が幹部入りしているのですから、2012年の金日成の生誕100年までは、これ以上北朝鮮が切ることのできるカードはありません。金正日が健在な間に、やれることはやっておいて、後継者には負担をかけないようにとの思惑が見て取れます。
― 疑問なのは、核兵器に頼らざるを得ないのは、判るとしても、経済的に北朝鮮は、これからどういう道をたどろうとしているのでしょうか。核兵器は、劇薬ですから、いつまでもそれに頼ることは、できないでしょう。経済が豊かになることが、政権の安定に一番肝要なことでしょう。核保有は、織り込み済みで、朝鮮半島の安定のために北朝鮮のデフォルト状態をそれぞれのメンツを立てながら解決救済していくかを考えることが長期的には必要でしょう。
前回核実験時には、中国が給油パイプラインのバルブを閉めて、唐家セン国務委員が強い交渉に行きましたが、今回、中国は六者協議再開に向けて、各国との協議を優先させているように見えます。来年の上海万博まで、緊張を高めたくはないし、第12次5カ年計画(2011-2915)の準備で、北京はもっとも忙しい夏を迎えようとしています。しかも、春は北部を中心に旱魃で小麦に相当の被害が出ているようで、中国の本音は、体内工作に全力を入れたいというところでしょう。それを北朝鮮も織り込み済みということですが、日本は、スウィンフルのおかげで大騒ぎになり、こうした近隣国の情勢をきちんと分析していないように見えます。
あまり報じられてはいませんが、「核クラブ」(国連安保理常任理事国)に日本がどうしても入れないのは、国連憲章の問題だけではなく、日本の核化に国際社会は反対しているからなのです。それほど、日本は信用されていません。もちろん、北朝鮮も核クラブには入れませんし、そのための「朝鮮半島の非核化と平和確立」が国際社会の課題なのです。
金正日の個人プロファイルを作成してみたのは、韓国人と同様に、彼の背景には強い儒教精神があり、それに支えられた儒教制独裁国家と考えてみたほうが、北朝鮮を理解しやすいからです。このときの「儒教」は、日本における理解ではなく、宗教や習俗としての伝統的な儒教のことです。
― まず北は、中国に習い、開放改革選択を選択しているように見えるのですが。今回のことで韓国の資本を導入できるのでしょうか。つまり先にあげた太陽政策は、その道なのでしょうが。今すぐにではなくとも、それしか道がないぞと言っているのでしょうか。資本家は、金のことを考えるのですから、核よりも儲け話をすればいいと思うのですが。
ですから、近代的な資本主義の論理は、通用しないとお考えください。先祖の面子をつぶさないように、現在の君主を傷つけないように、ということが根幹なのです。中国の場合は、トウ小平というフランス共産党員が抜群の手腕で国内外のバランスを取りましたが、北朝鮮にはそうした人材はいません。シンガポールも長期のリー・クワンユーの独裁が続いたので、優秀な人材はいますが、タイのように優秀でかつ対外的に活躍できる人材には恵まれていません。
― 次に中国とロシアは援助や投資を行っているのでしょうか。それとも北が拒否しているのでしょうか。国家的にデフォルト状態にあり、金一族の権力からの追放とか救済に何か条件がついているのでしょうか。今回のことはそれを打ち破り中、ロからも経済援助を引き出す策なのでしょうか。韓国はどう考えているのでしょうか。太陽政策は凍結して、政治経済的な破綻を押しすすめ、東ドイツのように、金一族が、軍なり、国民なりから反乱されるというタイミングをみて、そこで成立した政権と平和裏に国家統合し、自国も核兵器を結果として持つという戦略を選択するのでしょうか。
さて、今後です。韓国の李明博は商人ですので、儲け仕事が発生するまでは静観でしょう。中国も、先に述べたとおり、原則的な外交努力を行なうまでで、むしろ今後予定されている中ロ合同軍事演習(7~8月に両国内で大規模な合同軍事演習「平和の使命2009」。第1段階はロシア国内、第2段階と第3段階は北朝鮮に近い中国東北地方で行う計画。隣国有事の際の緊急展開-緊急展開軍派遣-介入能力強化が目的と見られる)でロシアとの固い団結を誇示し、北朝鮮の「先軍政治」に転換を迫ることが予想されます。
ロシア人も商人ですので、むしろ中国・韓国と連携を深め、表面的には原則的な外交という路線と考えられます。アメリカは、GM救済のあとは、すぐに新年度予算(09年10月から10年9月)の作成にはいらねばならず、それまでにイラクからの撤兵とアフガニスタンの再編だけでも、じゅうぶんに忙しく、こちらも「厳しい制裁」を掲げながら、北朝鮮との直接対話は限定的なものになると考えられます。この意味で、これまで六者協議で強硬姿勢を示して北日本は、相対的にフリーハンドですが、肝心の政権交代が終わり、相対的な安定期に入るまでは、公式の積極外交は組めないものと思われます。
― そしてそれが統一ということとどう絡んでいくのでしょうか。東ドイツの、経済の再建は、民主的議会政治というろ過装置を使い、資本主義的手法で西ドイツの負担で行われています。北がその先例に習いそうもありませんが、それを6カ国が、外交的に説得できるのでしょうか。国家統合は、射程に入っていたのですが、金一族への処遇の問題が具体性を欠いていたのでしょうか。中露の支援はあったのでしょうか。いずれにしても今回の核実験では、北の人民は、救われないように思えますが、将来的にはどうなのでしょうか。そして日本は、政治的には、拉致問題があり、一方の当事者であった、総連が弱体化した今、長期的には、どう考えればいいのでしょうか。
こう見てくると、結局何も変わらないように見えますが、水面下で北朝鮮に対する核関連物資や技術供与は今まで以上に厳しくなりますので、北朝鮮が現状の核技術を維持するだけでも相当の負担になります。そのうえ、公約の2012年「強盛大国」までに国内経済の発展と社会の安定を図らねばならず、いっそうの政治運営の困難さが予想されます。ですから、いま、国防委員長がまだ立って国民に健在ぶりを示せるときに、核実験に踏み切ったとみざるを得ません。少なくとも、中ロ軍事演習前にアピールしておかなければ、秋は収穫のために軍隊も農村派遣せざるを得ない状況ですので、実験は来年以降に延期せざるを得ないからです。そうすると、金正日の健康状態がいっそう悪化する可能性もあり、本人自身が、この時期にすべての責任を取ってカードきりを行なったと見ることができます。
中国は韓国を友好的な島国と見ています。北朝鮮は開放されていない封鎖国家だからです。北朝鮮に遊びに行きたいという中国の青年は、まずいないでしょう。国境地帯の朝鮮族の子女も上海で韓国企業に現地採用された人々を見ていますし、ソウルにもたくさん働きに来ていますので、「近くの親戚より遠くの友達」をたよっているように見えます。「分断」という制度が半世紀以上続いているので、韓国も当面の「統一」は考えていないでしょう。せめて「平和友好関係」で別々に存在したいというのが本音ではないでしょうか。さらに、中国は、非公式に北朝鮮崩壊時に朝鮮人民軍が家族を連れて武装難民として瀋陽軍区になだれ込んできた場合に備え、国境の武装警察隊を精鋭の人民解放軍に交替したという話も中国サイトにあります。朝鮮語が喋れない兵士に国境警備をさせないと、防衛できません。平壌以北に展開する30万人の朝鮮人民軍軍(うち10万人は精鋭の特殊軍団)と中国人民解放軍瀋陽軍区の兵力30万人はほぼ拮抗しているといえます。さらに、中国は「統一朝鮮」を想定した場合の中国に対する圧力の増大も懸念していると伝えられます。何しろ歴史的には東北部の大部分が高句麗であった時代もあるのですから。
何だか、お答えにもなっていませんが、朝鮮半島をめぐる最近の情勢の所感です。
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