2009年5月31日日曜日

続朝鮮半島をめぐる所感

前回に続いて、朝鮮半島情勢を読み解いてみる。特に中国の視点からだ。

最初の「環球時報」の記事は、中国の公式見解である。「板門店代表部の発表」と「中央政府見解」の「使い分け」という、北朝鮮の長期観察者ならではの行間の分析は読み応えがある。
次の「中国網」は、金正日の盧武鉉の死に対する弔電の詳報だ。「弔問団派遣の打診」まで読み解くのは日本で至難の業だが、中国や韓国への強力なメッセージである。
最後の「苹果动新闻」は香港のネットメディアだ。本日朝のNHKニュースでも繰り返して報道していた趙紫陽の新刊の紹介である。革命から60年、天安門事件から20年の中国の底流で、体制変革へのうねりが起きていることの現われと見るべきか。
北朝鮮の「ウリ式」を読み解くのは、日本で受けた教育だけでは不可能に近い。共通のルールがほとんどないからだ。知友からの重ねての疑問に「儒教的独裁体制」と「宗族」という仮説を掲げて論じてみた。このように考えてみると、北朝鮮や、中国の地方幹部の行動様式が少しは見えてくる。日本には入ってこなかった、国家宗教としての儒教のすごさは、毛沢東の主導したプロレタリア文化大革命でも破壊できなかった。いや、むしろ中国人の遺伝子の内部のメカニズムとして、より強化された感さえある。「小中華」である北朝鮮や韓国もこの視点から再度、読み解く必要がある。


専門家、北朝鮮と韓国に地域紛争発生の可能性があると予測

2009年05月27日16:55 环球时报
http://world.huanqiu.com/roll/2009-05/473024.html

 朝鮮中央通信社の報道によると、北朝鮮軍は27日の声明で、北朝鮮はもはや軍事 休戦協定に拘束されず、米韓船舶と一般船舶の西海岸航行の安全保障ができないと発表した。「環球時報」の中国の専門家に対するインタビューで、北朝鮮は心 理的な威嚇にとどまらず、本当に大規模な衝突を起こす可能性が増大しており、北朝鮮は局部的な衝突を暴発させる恐れがあると述べた。
 報道によると、北朝鮮人民軍板門店代表部の報道官は、27日の声明で「全世界に 向かって、我々革命勢力は叛徒・李明博勢力が大量破壊兵器不拡散会議に参加したことは、我々に対する宣戦布告とみなす」と発表し、北朝鮮は1953年の休 戦協定に拘束されず、朝鮮半島は「戦争状態にもどる」と述べた。声明はまた、外国船籍の測量船であれ、北朝鮮は軍事的打撃とみなし、北朝鮮は「軍事境界線 付近の五島の法律的地位と周辺海域における航行の安全は保障できずない」と発表した。
 国際関係学院教授で国家戦略研究センター副主任の張敏謙は、北朝鮮は1953年 の休戦協定締結後、主に心理的な抑止力を形成してきたと述べた。さらに張敏謙は、北朝鮮は韓国のPSI加入に激烈に反応し休戦協定に拘束されないと宣言し たが、北朝鮮にとって明白なのは、韓米同盟の軍事力量が段違いであり、北朝鮮が本当に武力行使を行なう可能性は大きくなく、ただ韓国に対して強烈な心理的 な威圧を加えていると述べた。
 中国人民大学国際関係系の時殷弘教授は、朝鮮人民軍板門店代表部が休戦協定に拘 束されないと発表したが、北朝鮮政府は休戦協定からの撤退を発表していないと述べた。時殷弘は、朝鮮人民軍板門店代表部の1953年の休戦協定からの撤退 を発表したことが必ずしも軍事的な衝突に即時つながるわけではないが、朝韓の間での局地的な小規模の衝突を引き起こす可能性があることを認めた。
 時殷弘は、もし北朝鮮政府が今後休戦協定からの撤退を表明したとしても、それは 韓国に対する威嚇と、他の休戦協定調印国に対しての挑発であると述べた。核実験の実施により、北朝鮮と国際社会の対立はいっそう深刻化し、朝鮮人民軍板門 店代表部の休戦協定からの撤退発表は、アメリカによる国連安全保障理事会における制裁措置提出を容易にした。


金正日、盧武鉉の遺族に「深い哀悼」を弔電で表明

2009年05月29日 12:33
来源:中国新闻网
http://www.dahe.cn/photo/dsgfdstftre/t20090529_1566013.htm

5月25日、新華社は、韓国連合通信による朝鮮中央通信社報道を引用して、 25日に北朝鮮の金正日国防委員長が、前韓国大統領の盧武鉉の死で、遺族に対し、弔電で哀悼の意を表明したことを報道した。
報道によれば、金正日は弔電で「私たちは盧武鉉前大統領の不幸なご逝去の報に接し、権良淑夫人とご遺族のみなさまに深甚なる哀悼の意を表わします」と述べた。
北朝鮮は盧武鉉前大統領逝去の二日後の24日にすみやかに関連する消息を報道し、その後、金正日委員長は弔電を送った。これは2007年にふたりが南北首脳会談を行い『10・4南北首脳宣言』を発表したことを考慮したものである。
北朝鮮は、以前にも鄭周永・現代グループ前名誉会長や、鄭夢憲・峨山グループ前会長の死去の際にも、彼らの南北共同事業の功労を称え、速やかにその消息を報道し、遺族に弔電を送り、弔意を表わした。
北朝鮮は金正日委員長の名義で弔電を送り、弔問団の派遣を可能にすることで、韓国の世論の動向を見守っている。
韓国の盧武鉉前大統領は贈収賄疑惑による検察の捜査を嫌い、23日に自宅付近の烽火山の崖から飛び降り、午前9時30分頃に逝去した。


赵紫阳《改革历程》 40分钟沽清160本
趙紫陽『改革歴程』、40分で160冊完売


苹果动新闻2009.5.29 05:47pm
http://www.appleactionews.com/site/art_main.cfm?iss_id=20090529&sec_id=

趙紫陽の新刊『改革歴程』が本日発売され、支連会で正午に中国図書コーナーに趙紫陽の書が積まれ、40分で160冊が売れた。購読者は主にホワイトカラーで、幾人かの高齢者の姿もあった。

2009年5月29日金曜日

朝鮮半島をめぐる所感















北朝鮮の核実験施設(荆楚网 www.cnhubei.com
2009年5月26日から)

昨日は、雨中にドクダミの白い花が開き、クリの花も小さくのびだした。2009年5月28日は、旧暦で5月5日、端午の節句である。
知友から朝鮮半島をめぐる長い手紙が来た。以下に、問答形式に変えて提示する。


 Aさん、ご多用のところ、長文のご感想ありがとうございます。

― おっしゃるように、北朝鮮は、国家の存亡を、内外ともに賭けているように思います。でも、朝鮮半島の非核化の第一歩になるでしょうか。国家に核兵器を持つなということは今の世界では、強制できないのではないでしょうか。決議を百挙げてみても持つと決めたらそれを認めたうえで仲間としての核の保存、使用のルール作りに参加させるかしかできないのではないでしょうか。北が参加しないと言っているのですから、手を焼いているのですね。

 まず背景です。今回の事態に至るまでに、アメリカの東アジア専門家から、北朝鮮を冷静に分析してみたほうがいい、という非公式の示唆が、年頭にありました。そこで、1月に金正日のプロファイルを作成し、2月まで中国サイトで関連情報を収集してみました。
 この結果を、韓国の友人にも送りました。
 さらに、5月の連休明けに、アメリカの東アジア専門誌『アジア・パシフィック・ジャーナル:ジャパン・フォーカス』にロシア人外交専門家の平壌訪問後の分析記事「新たな朝鮮半島の冷戦と緊張緩和の可能性」が掲載され、さらに『アジア・クロニクル』で、「北朝鮮の忘れられたジャーナリストたち」が掲載されました。前者は、六者協議による外交でしか問題解決の道がないのに、なぜ日本だけがミサイルに過剰な「パラノイア」のような反応をしたのか、という内容がふくまれており、後者は、イランがアメリカ人のサベリ記者を解放したのに、北朝鮮は、ふたりのアメリカ人女性ジャーナリストを拘束して解放のめどが立っていないのに、国際世論は忘れている、というものでした。
 こちらも、韓国の友人に送りました。
 日本で一番のコリア・ウオッチャーの産経の黒田勝弘記者の記事にも見えない内容です。
 また、連休直前に、アメリカの高官が直接、平壌を電撃訪問し、米朝直接対話を行い、連絡事務所を相互に開設する可能性が高いというアメリカの記事も読んでいました。
 こうした観察からすると、今回の二回目の核実験は、むしろ北朝鮮国内向けに行なったもので、同時に対外反応を注意深く見ているというのが本当のところのように思います。北朝鮮の声明は、別添のとおり冷静で、後継者に内定している三男の正雲が幹部入りしているのですから、2012年の金日成の生誕100年までは、これ以上北朝鮮が切ることのできるカードはありません。金正日が健在な間に、やれることはやっておいて、後継者には負担をかけないようにとの思惑が見て取れます。

― 疑問なのは、核兵器に頼らざるを得ないのは、判るとしても、経済的に北朝鮮は、これからどういう道をたどろうとしているのでしょうか。核兵器は、劇薬ですから、いつまでもそれに頼ることは、できないでしょう。経済が豊かになることが、政権の安定に一番肝要なことでしょう。核保有は、織り込み済みで、朝鮮半島の安定のために北朝鮮のデフォルト状態をそれぞれのメンツを立てながら解決救済していくかを考えることが長期的には必要でしょう。

 前回核実験時には、中国が給油パイプラインのバルブを閉めて、唐家セン国務委員が強い交渉に行きましたが、今回、中国は六者協議再開に向けて、各国との協議を優先させているように見えます。来年の上海万博まで、緊張を高めたくはないし、第12次5カ年計画(2011-2915)の準備で、北京はもっとも忙しい夏を迎えようとしています。しかも、春は北部を中心に旱魃で小麦に相当の被害が出ているようで、中国の本音は、体内工作に全力を入れたいというところでしょう。それを北朝鮮も織り込み済みということですが、日本は、スウィンフルのおかげで大騒ぎになり、こうした近隣国の情勢をきちんと分析していないように見えます。
 あまり報じられてはいませんが、「核クラブ」(国連安保理常任理事国)に日本がどうしても入れないのは、国連憲章の問題だけではなく、日本の核化に国際社会は反対しているからなのです。それほど、日本は信用されていません。もちろん、北朝鮮も核クラブには入れませんし、そのための「朝鮮半島の非核化と平和確立」が国際社会の課題なのです。
 金正日の個人プロファイルを作成してみたのは、韓国人と同様に、彼の背景には強い儒教精神があり、それに支えられた儒教制独裁国家と考えてみたほうが、北朝鮮を理解しやすいからです。このときの「儒教」は、日本における理解ではなく、宗教や習俗としての伝統的な儒教のことです。

― まず北は、中国に習い、開放改革選択を選択しているように見えるのですが。今回のことで韓国の資本を導入できるのでしょうか。つまり先にあげた太陽政策は、その道なのでしょうが。今すぐにではなくとも、それしか道がないぞと言っているのでしょうか。資本家は、金のことを考えるのですから、核よりも儲け話をすればいいと思うのですが。

 ですから、近代的な資本主義の論理は、通用しないとお考えください。先祖の面子をつぶさないように、現在の君主を傷つけないように、ということが根幹なのです。中国の場合は、トウ小平というフランス共産党員が抜群の手腕で国内外のバランスを取りましたが、北朝鮮にはそうした人材はいません。シンガポールも長期のリー・クワンユーの独裁が続いたので、優秀な人材はいますが、タイのように優秀でかつ対外的に活躍できる人材には恵まれていません。

― 次に中国とロシアは援助や投資を行っているのでしょうか。それとも北が拒否しているのでしょうか。国家的にデフォルト状態にあり、金一族の権力からの追放とか救済に何か条件がついているのでしょうか。今回のことはそれを打ち破り中、ロからも経済援助を引き出す策なのでしょうか。韓国はどう考えているのでしょうか。太陽政策は凍結して、政治経済的な破綻を押しすすめ、東ドイツのように、金一族が、軍なり、国民なりから反乱されるというタイミングをみて、そこで成立した政権と平和裏に国家統合し、自国も核兵器を結果として持つという戦略を選択するのでしょうか。

 さて、今後です。韓国の李明博は商人ですので、儲け仕事が発生するまでは静観でしょう。中国も、先に述べたとおり、原則的な外交努力を行なうまでで、むしろ今後予定されている中ロ合同軍事演習(7~8月に両国内で大規模な合同軍事演習「平和の使命2009」。第1段階はロシア国内、第2段階と第3段階は北朝鮮に近い中国東北地方で行う計画。隣国有事の際の緊急展開-緊急展開軍派遣-介入能力強化が目的と見られる)でロシアとの固い団結を誇示し、北朝鮮の「先軍政治」に転換を迫ることが予想されます。
 ロシア人も商人ですので、むしろ中国・韓国と連携を深め、表面的には原則的な外交という路線と考えられます。アメリカは、GM救済のあとは、すぐに新年度予算(09年10月から10年9月)の作成にはいらねばならず、それまでにイラクからの撤兵とアフガニスタンの再編だけでも、じゅうぶんに忙しく、こちらも「厳しい制裁」を掲げながら、北朝鮮との直接対話は限定的なものになると考えられます。この意味で、これまで六者協議で強硬姿勢を示して北日本は、相対的にフリーハンドですが、肝心の政権交代が終わり、相対的な安定期に入るまでは、公式の積極外交は組めないものと思われます。

― そしてそれが統一ということとどう絡んでいくのでしょうか。東ドイツの、経済の再建は、民主的議会政治というろ過装置を使い、資本主義的手法で西ドイツの負担で行われています。北がその先例に習いそうもありませんが、それを6カ国が、外交的に説得できるのでしょうか。国家統合は、射程に入っていたのですが、金一族への処遇の問題が具体性を欠いていたのでしょうか。中露の支援はあったのでしょうか。いずれにしても今回の核実験では、北の人民は、救われないように思えますが、将来的にはどうなのでしょうか。そして日本は、政治的には、拉致問題があり、一方の当事者であった、総連が弱体化した今、長期的には、どう考えればいいのでしょうか。

 こう見てくると、結局何も変わらないように見えますが、水面下で北朝鮮に対する核関連物資や技術供与は今まで以上に厳しくなりますので、北朝鮮が現状の核技術を維持するだけでも相当の負担になります。そのうえ、公約の2012年「強盛大国」までに国内経済の発展と社会の安定を図らねばならず、いっそうの政治運営の困難さが予想されます。ですから、いま、国防委員長がまだ立って国民に健在ぶりを示せるときに、核実験に踏み切ったとみざるを得ません。少なくとも、中ロ軍事演習前にアピールしておかなければ、秋は収穫のために軍隊も農村派遣せざるを得ない状況ですので、実験は来年以降に延期せざるを得ないからです。そうすると、金正日の健康状態がいっそう悪化する可能性もあり、本人自身が、この時期にすべての責任を取ってカードきりを行なったと見ることができます。
 中国は韓国を友好的な島国と見ています。北朝鮮は開放されていない封鎖国家だからです。北朝鮮に遊びに行きたいという中国の青年は、まずいないでしょう。国境地帯の朝鮮族の子女も上海で韓国企業に現地採用された人々を見ていますし、ソウルにもたくさん働きに来ていますので、「近くの親戚より遠くの友達」をたよっているように見えます。「分断」という制度が半世紀以上続いているので、韓国も当面の「統一」は考えていないでしょう。せめて「平和友好関係」で別々に存在したいというのが本音ではないでしょうか。さらに、中国は、非公式に北朝鮮崩壊時に朝鮮人民軍が家族を連れて武装難民として瀋陽軍区になだれ込んできた場合に備え、国境の武装警察隊を精鋭の人民解放軍に交替したという話も中国サイトにあります。朝鮮語が喋れない兵士に国境警備をさせないと、防衛できません。平壌以北に展開する30万人の朝鮮人民軍軍(うち10万人は精鋭の特殊軍団)と中国人民解放軍瀋陽軍区の兵力30万人はほぼ拮抗しているといえます。さらに、中国は「統一朝鮮」を想定した場合の中国に対する圧力の増大も懸念していると伝えられます。何しろ歴史的には東北部の大部分が高句麗であった時代もあるのですから。
 何だか、お答えにもなっていませんが、朝鮮半島をめぐる最近の情勢の所感です。

2009年5月26日火曜日

孤独な王様














北朝鮮の核実験地点(中国のサイトから)


 昨日は、午前中雨で肌寒かったが、午後からは天気も回復し暖かかった。
 北朝鮮が第2回地下核実験を行い、ニュースは世界を駆け巡った。

 本日は早朝に国連の緊急安全保障理事会が開催された。今月の議長国はロシアだ。
 これから、日本のメディアで低級な北朝鮮・金正日非難が繰り返されよう。
しかし、金正日は、本当に孤独で、実は今回のカードで「朝鮮半島の非核化」に第一歩を踏み出したのかもしれない。そう考えたのは、昨25日、5月23日に自死した韓国の盧武鉉大統領の遺族に、異例の弔電を送っているからだ。彼との間には、直接会談があり、後輩の盧武鉉は、金正日を先輩として敬い、太陽政策を継続したことで知られる。
 以下に、金正日の目で見た本日までの外交年表を示す。

金正日関係年表(核実験とミサイル開発関連)

1940年9月20日、麻生太郎生まれる

1941年12月19日、李明博生まれる

1942年2月16日、金正日生まれる

1942年12月21日、胡錦濤生まれる

1946年9月1日、盧 武鉉生まれる

1961年8月4日、バラク・フセイン・オバマ・ジュニア生まれる

1965年9月14日、ドミートリー・アナトーリエヴィチ・メドヴェージェフ生まれる

1998年8月31日に、地域の諸国に対する事前通報を行わずにミサイル発射

2000年6月、韓国の金大中大統領を平壌に迎え、南北首脳会談「南北共同宣言」発表)

2000-2001年にかけイタリア、イギリス、カナダ等西側諸国との国交を樹立

2001年9月、アメリカ同時多発テロ事件

2002年にはアメリカのブッシュ大統領が、北朝鮮、イラン、イラクの3ヶ国をテロ支援国家であるとし、「悪の枢軸 (axis of evil)」

2002年7月以降、経済改革に着手

2002年8月、金正日国防委員長訪露

2002年9月17日、小泉純一郎首相との日朝首脳会談、「日朝平壌宣言」

2002年11月15日、胡錦濤・中共総書記

2003年3月15日、胡錦濤国家主席に就任

2003年、イラク戦争の最中には密かに中華人民共和国の北京を訪問

2003年8月27日-29日、核問題を中心に、日本、韓国、ロシア、中華人民共和国、アメリカ合衆国と共に第1回六者会合(六ヶ国協議)

2003年10月、呉邦国中国全人代常務委員長訪朝

2004年2月25日-28日、第2回六者会合

2004年4月、金正日国防委員長訪中

2004年5月、小泉総理訪朝

2004年6月23日-25日、第3回六者会合

2004年7月、シアヌーク・カンボジア国王訪朝

2004年9月1日に高英姫夫人の死亡が報道

2004年11月、オバマ上院議員に就任

2004年12月、バガバンディ・モンゴル大統領訪朝

2005年1月、ラントス米下院一行訪朝

2005年2月、ウェルダン米下院軍事委副委員長等下院訪朝団訪朝、王家瑞中国共産党中央委員会対外連絡部長訪朝

2005年3月、胡錦濤軍事委員会主席に就任

2005年6月、鄭東泳韓国統一部長官訪朝

2005年7月、唐家セン中国国務委員訪朝

2005年7月26日-8月7日第4回六者会合(第1セッション)

2005年8月、プリコフスキー・ロシア極東連邦管区大統領全権代表訪朝、ジェームス米下院国際関係委員会アジア太平洋分科委員会委員長等訪朝

2005年9月13日-19日、第4回六者会合(第2セッション)

2005年10月、呉儀中国副首相訪朝、プリコフスキー・ロシア極東連邦管区大統領全権代表訪朝、胡錦濤中国国家主席訪朝

2005年11月14日、メドベージェフ第一副首相に任命

2005年11月9日-11日、第5回六者会合(第1セッション)

2006年4月、金桂冠副相訪日、唐家セン中国国務委員訪朝

2006年7月5日に弾道ミサイルを複数回発射

2006年7月15日には北朝鮮のミサイル発射をきっかけに国連安全保障理事会は決議第1695号(北朝鮮のミサイル発射実験に対する決議)を全会一致で決議

2006年10月9日、核実験実施を発表

2006年10月14日、国連安全保障理事会は決議第1718号(北朝鮮核実験実施に対する国連制裁決議)を全会一致で採択

2006年10月18日、唐家セン中国国務委員訪朝

2006年12月18日-22日、第5回六者会合(第2セッション)

2007年2月8日-13日、第5回六者会合(第3セッション)

2007年3月、第1回「米朝国交正常化のための作業部会」(於:ニューヨーク)、第1回「日朝国交正常化のための作業部会」(於:ハノイ)

2007年3月19日-21日、第6回六者会合(第1セッション)

2007年7月、楊潔チ中国外交部長訪朝

2007年7月、六者会合首席代表者会合

2007年9月、第2回「米朝国交正常化のための作業部会」(於:ジュネーブ)、第2回「日朝国交正常化のための作業部会」(於:ウランバートル)、第6回六者会合(第2セッション)(2007年9月現在、国交のある国は162か国)

2007年10月、第2回南北首脳会談(金正日総書記と盧武鉉大統領)

2007年11月、南北総理会談

2008年2月25日、李明博大韓民国大統領に就任

2008年5月7日、メドベージェフ大統領就任

2008年8月、金正日脳卒中で倒れる

2008年9月24日、麻生太郎閣総理大臣に就任

2009年1月17日、北朝鮮が韓国との「全面対決」を宣言

2009年1月20日、オバマ、アメリカ合衆国大統領就任

2009年4月5日、北朝鮮が長距離ミサイル発射

2009年4月14日、国連安全保障理事会、北朝鮮によるミサイル発射非難の議長声明、北朝鮮は猛烈に抗議、6カ国協議からの脱退を宣言

2009年5月25日、北朝鮮地下核実験(米中に事前通告)、短距離ミサイルも2発発射

2009年5月25日、金正日(キム・ジョンイル)総書記は、23日に死亡した韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の遺族に異例の哀悼の意を表明

2009年5月26日、国連安全保障理事会、緊急開催



 次に、昨日の中国のニュースを示す。冷静である。

韓国:北朝鮮中央日報、第二次核実験をとおして核兵器を強化
2009-05-25 19:04:26
sina新浪博客

http://blog.sina.com.cn/

北朝鮮、25日に核実験を行い「成功」す(北朝鮮朝鮮中央通信等報道)


 朝鮮中央通信は、「共和国は自衛のための核抑止力を強化する大きな節目を迎え、地下核実験を2009年5月25日に成功させた」と発表し、「今回の試験的核爆発の制御技術は、さらに高い安全レベルとなった」と述べた。
 先月29日、国連安全保障理事会は、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に関する議長声明を発表し、その「即時謝罪」を希望したが、北朝鮮外務省の報道官は、この警告から一ヵ月後の本日、北朝鮮が核実験を行なったと発表した。
 朝鮮中央通信は、さらに「実験結果は、核兵器の力をさらに大きくし、核技術も無限に発展し、科学技術上の問題も順調に解決している」と主張し、「核実験は国家と民族の自主権を保障し、社会主義的発展の貢献に寄与した」と述べた。
 北朝鮮の核実験はM3.5程度の地震を引き起こしたが、今回はM4.5程度の地震を起こし、強大な威力を示した。北の核について、六者協議にかわって、国連安全保障理事会は、2006年10月、制裁決議第1718号を発表した。
 今回、全世界の北朝鮮の核実験反対の声が高まるなか、朝鮮半島を取り巻く核問題は緊張にあり、懸案の諸問題も激化する可能性がある。

 以上でわかるとおり、中国の主席以外の他の米韓ロ日の首脳と金正日は面識がない。そればかりか、強硬姿勢の麻生と李は先輩で、後は後輩である。オバマやメドベージェフは、長男の正男(1971生まれ)の世代というべきだ。後継問題や、権力体制の保全を考えたときに、中国はかつてのように「兄貴」ではないし、本当に、孤独感のなかで金正日は今回の連続的な「カード切り」を行なったように見える。「いま切らなければ、自分には次の舞台がない」「このまま持久戦でいけば、大国の思惑どおりの外交で押し切られてしまう」といった思いが去来し、しかも最愛の英姫夫人が死んで以来、心から相談できそうな側近もいなくなった。
 日本にできそうなことは限られている。ただ、静観を装いながら、第三国経由で非公式に接触を積み重ね、六者協議再開までに準備を整えておく必要がある。じっと待っているだけでは、何も生まれない。

2009年5月21日木曜日

夕暮れに読む記事から

新型インフルエンザの集中報道で、他の記事がかすんでいる。特にテレビの報道は、かなり偏っている。調査報道や、座談などで情勢の掘り下げがほしい。

本日、財団法人日本国際問題研究所が英文で、倉田秀也「ありがたくない既視感:新しい米朝のミサイル取引」An Unwelcome Déjà vu: A New US-North Korea Missile Deal, Hideya Kurata, 20 May 2009 http://www.jiia.or.jp/en_commentary/200905/20-1.html を発表した。倉田秀也は防衛大学校総合安全保障研究科教授(安全保障論・韓国政治外交史)で、日本国際問題研究所研究員でもある。一読したが、クリントン政権時の米朝の緊張と緩和の「デジャブ」と主張だけでは、現在のアメリカの政権交代ならびに、世界経済の後退という10年後の時代背景の違いがにじんでいない。欧米の研究者の論文のもつ「相手のにおい」のする凄みがないように感じた。


▼知られざる東京駅丸の内駅舎の復元現場
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090508/532479/
日経アーキテクチュア2009年5月11日号では、「岐路に立つ有名建築」と題した特集を掲載した。この中から、保存・復元工事が進む東京駅丸の内駅舎の現在の様子を紹介する。

中間報告だが写真も興味深い。

▼現場経験重視の姿勢が柔軟な発想を妨げることもある/ケンセツ的視点
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20090511/532514/
鹿島がミツバチを指標とした生態系配慮型の緑地計画作りを始めるという。植物の受粉を媒介するミツバチの行動範囲を調べることで、タンポポなどの植生分布を知ることができるのだ。このように、建設業界が取り扱う仕事の裾野は広がりつつある。ただし、広がりつつある分野を亜流と捉える建設技術者は少なくない。

ありがちな話だ。続報は出るだろうか。

【ニュースを斬る】
悲鳴を上げる中国農業
ある教授が農村で目にした“悲惨な病理”
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_40524_387793_133

中国農業が悲鳴を上げている。土と水の汚染、担い手である農民の疲弊は、国内消費量の20%にあたる野菜を中国からの輸入に頼る日本にとって他人事ではない・・・

やはり、の思いで読んだ。

【児玉博の「見えざる構図」】
北方領土と使用済み核燃料再処理工場の関係
プーチン来日、懸案の日ロ原子力協定締結の先
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_40524_387793_146

北方領土で再処理工場建設とは考えもしなかった。

●売り切れゴメン
 第4回 パックに詰めた日が製造日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090511/151507/?ml

 夕方スーパーへ買い物に行くと、特に買うあてが無くても、私は総菜売り場を歩いてしまいます。「今晩何か食べようかな」と思ったり、旬の食材が並んでいるのを見て、「こんな季節になったんだな」と感じたりするのが楽しいのです。

このシリーズは、よくわかる解説だ。高校の先生に伝えた。

●細野透:水害による巨額損失を防ぐには「災害のトリアージ」が必要か!?
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090514/152495/?ml

これもよくまとめたが、地形図に投影してほしかった。

●2009年の梅雨は短め、終盤に大雨の可能性
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090514/152561/?ml

全国に配信した。

●古森 義久の“外交弱小国”日本の安全保障を考える
 新たな局面を迎えた北朝鮮拉致問題
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090512/151758/?ml

 北朝鮮による日本人拉致事件はどうなるのだろうか。日本国民の悲願ともいえるその解決のために必要な国際的連携では、まず米国との協力はどうなるのか。そして韓国との連帯はどうなのか。4月下旬から5月はじめにかけての拉致問題関係者代表のワシントン訪問は、この悲劇の終結への努力が新しい段階を迎えたことを印象づけた。

この記事以降、別掲のとおり、北朝鮮情勢を考えさせられた。

▼新たな住宅市場創出のカギは「70歳以上」
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090515/532631/
日本の人口動態を考えたとき、2008年は住宅市場の大きな転換点だったと思う。住宅マーケットの主力だった35歳前後の人口は今後、年々減っていく。右肩上がりのマーケットがあるとすれば、60~75歳くらいの世代だ。

興味深い記事だ。地方の友人に送った。

▼内部のにぎわいを駅前空間の活気として演出/刈谷駅南地区第一種市街地再開発
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090310/531040/
▼文化・芸術によるコミュニティー再生拠点/橘通西三丁目地区第一種市街地再開発
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090309/531029/
▼建物の中央に緑の屋外空間を配置/JR 尼崎駅オフィスビル
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090309/531028/

以上は、最新の事例として参考になった。

●森永卓郎:小沢代表辞任で混迷を深める補正予算案の行方
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090519/153605/?ml

 5月11日、民主党の小沢一郎代表が、代表を辞任することを記者会見で表明した。早くも16日には鳩山由紀夫幹事長が新代表に選出されたが、それにしても小沢辞任は突然のこととして驚きをもって迎えられたようだ。

補正予算との関連がよくわかった。

●ECO JAPAN/日経エコロジーリポート
 どうなる どうする温暖化:座談会
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20090512/101388/

 地球温暖化が進むと日本にはどんな影響が及び、我々はどんな適応策を講じたらよいのか──。本誌は2008年5月号から2009年3月号にかけて、温暖化が日本に及ぼす影響と適応策を、気候、稲作、水災害、森林・植生、漁業、果樹、感染症、異常気象、水資源、生態系、降雪の11テーマで紹介してきた。

わかりやすい座談だ。関係者に送った。

【ニュースを斬る】
総選挙後には政界再編を  緊急読者アンケートが示した政界の課題
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_41090_390051_131

緊急の調査記事だ。コメントを付して関係者に送った。

●ECO JAPAN/古田尚也:連続解説「生物多様性と世界と日本」
 動きを加速させる国際社会~2010年名古屋会議の背景
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20090514/101406/

 地球環境問題として生物多様性保全が世界的な重要テーマとして浮上してきた。森林資源や農産物、遺伝子資源の利用や保全に関する国際的なルール作りが進む。日本の産業界に及ぼす影響は大きい。

連載記事の開始だ。期待が持てる。

東京都調布市、携帯電話で軽自動車税の納付を可能に
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090520/154059/

自治体関係者に送った。

2009年5月20日水曜日

北朝鮮、アメリカ人女性ジャーナリスト2名の拘束続ける










U.S journalists Euna Lee (left) and Laura Ling (right).


本日も、引き続き考えさせられている。
朝一番で、アメリカの知人から「アジア・クロニクル」RESOURCE Asia Chronicle - The Online Journal of Asian News & Analysis WWWの示唆があった。
早速、開いてみると次の記事が目に飛び込んできた。

「北朝鮮の忘れられたジャーナリストたち」
The Forgotten Journalists in North Korea
Matt Harris 18.MAY.09
http://www.asiachroniclenews.com
著者のマット・ハリスは「アジア・クロニクル」の非常勤研究員だ。
イランで拘束された日系米人女性ジャーナリストのロクサナ・サベリと、北朝鮮に拘束された中国系米人ローラ・リンと韓国系米人ユナ・リーの二人の女性ジャーナリストは、「同じ精神」で不当に拘束されたことを強調した。さらに「悪魔は細部に宿る」で、ふたつの「ならずもの国家」のうち、イラン政府は内部の対立からサベリ記者の解放をオバマ政権へのシグナルとしたが、北朝鮮は世界から孤立しているので、そうした選択ができないと評した。さらに「北朝鮮の人質」は、この10年北朝鮮の行動原則は金正日の指導部の延命のために緊張緩和による経済援助と、過激な政策による孤立化の間を揺れ動いているとして、今回の二人の女性記者の拘束で、核カードまではきれないとしても、外交上の優位な立場や具体的な経済制裁の撤廃を望んでいる可能性があると指摘した。また「アメリカに何ができるか」で、イランのサベリ記者の解放以降、アメリカはイラン政府に公式の外交カードを切るべきで、北朝鮮はそれをじっと見守っていると指摘した。アメリカは、何も得るものはないが、中国を仲介者として最小限の行動を起こすことができると提起した。

4月以来、アメリカのYouTubeは、関連する多くのニュースを流している。

North Korea Detains Two American Journalists
http://www.youtube.com/watch?v=khoYFwV7b8k&feature=related

上記は、その一例だが、まるで日本における「拉致被害者問題」と同じようなキャンペーンがされている。

日本における主な報道は以下のとおり:

北拘束の米人記者は2人=中朝国境で取材中-米紙
 中朝国境地帯を取材中の米国人記者が北朝鮮に拘束されたとされる問題で、19日付の米紙ニューヨーク・タイムズは人権活動家らの情報として、中国系米国人のローラ・リン記者と韓国系米国人のユナ・リー記者の2人であると報じた。北朝鮮軍の国境警備部隊が拘束したとされ、朝鮮族の中国人ガイドも一緒に捕らわれたという。(2009/03/19-22:29)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200903/2009031900880

北朝鮮:米記者拘束問題 北朝鮮、計画的拘束か 秘密警察が国境待機--消息筋証言
毎日新聞 2009年5月11日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/world/northkorea/news/20090511ddm003030138000c.html

北朝鮮が拘束の米人記者2人、スウェーデン大使と面会
2009年5月16日10時45分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090516-OYT1T00304.htm

北に拘束の女性記者「ネットで救え」、クリントン米国務長官
AFPBB News 05月19日13時02分 発信地:ワシントンD.C./米国
http://www.afpbb.com/article/politics/2603841/4165500

一方、日本の「家族会」のアメリカ訪問の記事は、この米人女性ジャーナリスト拘束事件にひとことも触れなかった。

●古森 義久の“外交弱小国”日本の安全保障を考える
 新たな局面を迎えた北朝鮮拉致問題
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090512/151758/?ml
「北朝鮮による日本人拉致事件はどうなるのだろうか。日本国民の悲願ともいえるその解決のために必要な国際的連携では、まず米国との協力はどうなるのか。そして韓国との連帯はどうなのか。4月下旬から5月はじめにかけての拉致問題関係者代表のワシントン訪問は、この悲劇の終結への努力が新しい段階を迎えたことを印象づけた」。

ことの経過は別として、北朝鮮による国際的な人権侵害であるとして、なぜ日本政府やメディアは、「日本人拉致被害者」と同様に「アメリカ人拘束者」の即時解放を主張できないのだろうか。まさか「日本人は完全に被害者だが、アメリカ人は法を犯した」ということはできまい。日本は、これまで北朝鮮の主張する彼らの法体系による「日本人拉致被害者」の処遇を不当だといい続けてきたからだ。北朝鮮の現体制自体が、国民の人権をないがしろにしているという従来の主張に変わりがないのなら、アメリカ人拘束者(それも中国国内から拉致された)も同様に即時解放の主張をしなければならないはずだ。

せめてクリントン国務長官が「ネットで救済を」と叫んでいるのだから、日本政府首脳も呼応するくらいの気魄がほしい。

2009年5月19日火曜日

新たな朝鮮半島の冷戦と緊張緩和の可能性












金正日と人工衛星/ミサイル計画の科学者・技術者たち(『ジャパン・フォーカス』から)


朝から考えさせられてしまった。
『ジャパン・フォーカス』誌のニューズレターを読んだからだ。

The Asia-Pacific Journal: Japan Focus Newsletter
Newsletter No. 20. 2009

May 18, 2009

とくに、グレゴリー・トローラヤ「新たな朝鮮半島の冷戦と緊張緩和の可能性」を読んだからだ。

Georgy Toloraya, “The New Korean Cold War and the Possibility of Thaw” The Asia-Pacific Journal, Vol. 19-1-09, May 9, 2009.

http://www.japanfocus.org/-Georgy-Toloraya/3136

 以下、拙訳で部分を紹介する。

(前略)

何十発ものミサイルやロケットが世界で宇宙に打ち上げられているときに、世界最貧国が10年に1度のロケット打ち上げを、日本のパラノイアだけが「敵」と呼ぶことで、世界的な問題の焦点となった。そのため、もっと深刻な2月のイランの人工衛星打ち上げ成功は問題にもされなくなった。
 北朝鮮は、協力者なしで国内の「引き締め」に成功し、世界の注目を集めることにも成功した。それで、国連安全保障理事会議長声明における中国とロシアの「裏切り」による不快感を隠さなかった。平壌は、六カ国協議から日本と韓国を除いて意思決定はできない。米国は遅かれ早かれ、平壌と対話を再開しなくてはならない。そうしなければ、新たな挑発が続く。

 次は何か? 国際社会は、アメリカと北朝鮮の対話を待たなくてはならないようだ。平壌は、オバマ政権の関係する初心者を「飼いならし」、将来の譲歩のための利害関係を吊り上げるために、ワシントンの非難を始めた。協議の遅延は、北朝鮮の(燃料棒再処理による核実験や、ミサイル演習、たぶん国境における韓国との衝突の可能性で)利害を高める。全員が好まないにせよ、北朝鮮の核保有のステータスは現実のものとなり、国際的な核拡散防止のための朝鮮半島の非核化が議事事項にならなければならない。

 いくぶん皮肉に聞こえるかもしれないが、アメリカ政府は、いま朝鮮問題についての総合的で新しいユニークなアプローチの可能性を持っている。第一に、平壌の存続を前提とした米朝の共生関係の成立である。北朝鮮の将来の暗黙の承認と、圧力の緩和が効果的である。(逆説的にこうした緊張緩和だけが、将来の自由主義経済への移行に伴う穏やかな政権転換への道を可能にする)。こうした新しいアプローチは、「しっぺ返し」なしに、高いレベルで平壌に示されるべきである。ただこの後だけで、朝鮮半島の非核化と非軍事化という長期の目標に向けた討論が始まろう。

(後略)

(訳注)トローラヤは、2008年の金正日の健康不安と韓国批判の強化、2012年の北朝鮮の「強盛大国」目標についても示唆した。


 「ふーん」とうなるしかない。韓国・朝鮮問題で日本のトップである産経の黒田勝弘記事「【北ミサイル発射】強盛大国へ焦り ポスト金正日への布石(2009.4.5 21:03)」http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090405/kor0904052104021-n1.htmとも異なる見解である。

 対イラン政策の変更をふくめた「ならずもの国家」群への全面的対応の変化となると時間がかかる。とはいえ、夏休み前には準備がされるであろう。

 トローラヤ論文掲載写真「金正日と人工衛星/ミサイル計画の科学者・技術者たち」を拡大してみると、いろいろなことがわかる。
 金正日自身のほおがこけおち、いつもの白いジャケットを着なければ体型の変化が容易に見て取れる状態だ。
 女性は、4人で、三列目中央の3人は、白い上着を着て中央やや左で髪を分けた同じデザインだ。関係の科学者か。それにくらべて、二列目の女性は金正日の背後から整ったヘアスタイルで化粧もしっかりしていて目立つ。高級幹部の子女か。明らかに他の3人よりいい栄養状態だ。
 「強盛大国」という「先軍政治」の国なのに、めずらしく軍服姿が映っていないのも、「人工衛星発射」を強調したいがためか。

 中国の反応だが、トローラヤ論文と基本的に同一スタンスと見ていい。外交部の姜瑜報道官の 2009年4月9日の定例記者会見で、朝鮮半島の非核化のためには圧力ではなく、関係者の外交努力の継続を希望する、という発言がそれを示す。過去6年間の六者会談の成果を強調し、朝鮮半島と北東アジアの平和的安定のために、六者会談の継続を示唆した。
http://news.sina.com.cn/c/2009-04-09/184217578110.shtml

 4月14日に北朝鮮外務省は、六者会談からの一方的な脱退を宣言した。同日、中国外交部の姜瑜報道官は定例記者会見で、関係者は大局を見て、冷静になり、六者会談を共同で維持しよう、と述べた。
http://video.sina.com.cn/news/c/v/2009-04-14/193434740.shtml

 中国メディアは、北朝鮮のミサイル発射写真と、ミサイル一段目切り離し時点のアメリカの衛星写真、海上のアメリカ軍の偵察基地の映像を関係各サイトで発表している。

 先週末の日本メディアの論説で北朝鮮問題に対する日本政府の外交努力が問われたが、そこに現れたレベルより深いところで、北朝鮮はシグナルを送っているようにも見える。当分は、関係各国の情報から目が話せない。

2009年5月11日月曜日

サクラにみる2009年の気候変動



 








カンヒザクラ(沖縄など)













ソメイヨシノ











エゾヤマザクラ(北海道)














チシマザクラ(根室)


 2009年のサクラの花情報がようやく出そろった。
 5月10日に釧路・根室でサクラの開花宣言が出され、サクラの開花前線はゴールした。5月18日日付で根室の満開日が16日に確定し、こちらも全国の情報がそろった。

サクラの開花日

 今年のサクラの開花の初認は、1月2日の那覇で、平年日にくらべて17日早かった。地方別の初開花日は以下のとおり。沖縄の那覇から北海道の函館まで113日、稚内まで128日で到達した。

生物季節観測の情報(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html

地方別の初開花日

地方      観察地   日付    平年差
沖縄      那覇     1月2日   -17
九州・山口  名瀬     1月22日   +4
四国     高知     3月16日    -7
中国     岡山     3月21日   -10
近畿     京都     3月19日   -12
東海     岐阜     3月18日   -11
関東甲信  甲府      3月20日   -9
北陸     福井      3月26日   -10
東北      福島      4月6日    -5
北海道    函館      4月25日   -8

サクラの満開日

 地方別の初満開日は以下のとおり。こちらは同じく那覇から函館まで98日、稚内まで109日で到達した。

地方別の初満開日

地方      観察地  日付    平年差
沖縄      那覇    1月23日   -12
九州・山口  名瀬    2月4日     5
四国      高知    3月24日   -8
中国      広島    4月5日    0
近畿      潮岬    3月30日   -7
東海      静岡    3月27日   -9
関東甲信   甲府    3月31日   -4
北陸      福井    4月7日    -3
東北      福島    4月9日    -6
北海道    函館    5月1日    -6

サクラの開花期間

 地方別の開花から満開までの最長期間は以下のとおり。国内最長期間は、石垣島の28日で平年を8日超えた。

地方別の開花から満開までの期間(最長)

地方      観察地   観察日数  平年日数
沖縄      石垣島     28      20
九州・山口  下関       14       9
四国      松山        15       8
中国      鳥取       16       6
近畿      京都       17       7
東海      名古屋     15       8
関東甲信   八丈島     14       8
北陸      福井       12       5
東北      青森       5       5
北海道    函館         6       4

 地方別の開花から満開までの最長期間は以下のとおり。国内最短期間は旭川の1日で平年を1日下回った。

地方別の開花から満開までの期間(最短)

地方       観察地   観察日数  平年日数
沖縄       宮古島     11      22
九州・山口   長崎       6       9
四国      高知       8       9
中国       広島      14       7
近畿       潮岬       8      9
東海       静岡       8      8
関東甲信    長野       4      5
北陸       輪島       6      4
東北       山形       2      4
北海道      旭川       1       2

地方別の開花から満開までの期間(中位数、観察地点数)

地方     観察日数  平年日数
沖縄      17     16.5
九州・山口   9     8
四国      14.5    8
中国      14.5    6.5
近畿      14     6.5
東海      13.5    7.5
関東甲信   11     7
北陸       7     4
東北      3     4
北海道     3.5   3.5

 以上を見てみると、2009年のサクラは、1年の30%をかけて日本列島を北上し、満開日はややスピードを上げて1年の26%で北上したことがわかる。
 開花期間は不均等で、石垣島の28日から旭川の1日までに分布した。開花から満開までの期間の中位数を見ると、東北と北海道を除き、平年を上回っていることがわかる。
 今年は東京で4月2日、名古屋は3日が桜の満開だったが、ちょうど同じころの4月1日に、札幌でこの春、初めて積雪がなくなった。札幌は今年3月15日に約50cmの積雪が残っていたが、23日に16cm、28日に5cmと減少し、月末にはほとんどなくなった。ちょうど1ヵ月後に札幌のサクラは開花し、例年にくらべ4日早く、連休中の5月4日には平年から4日早い満開となった。
 地方別の開花日は、1月2日から5月12日の109日間で、平年の125日間(1月15日から5月20日)を3日上回った。一方、満開日は、1月23日から5月8日までの105日間で、例年の113日(2月1日から5月25日)を4日短縮した(一部未確定)。気象庁の生物指標観測によると、過去50年で4日ほど開花が短縮したとあるが、今年もその傾向が続いている。

開花の短縮の原因

 これは、必ずしも地球温暖化だけの影響とはいえない。「気温の上昇率は,各観測地点において異なっており,札幌,東京,福岡といった大都市で大きくなっていることが分かります。このように,大都市で大きくなっているのは地球全体の自然変動や地球温暖化の影響とは別に,都市化が進行したことによる昇温が原因であると考えられます」(気象庁「20世紀の日本の気候」、2002年、http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/20th/nindex.htm)の指摘があるからだ。
 ただ、北日本の日本海側で気温は徐々に上昇しているが、北陸に比べて気温が低く、雨に変わるほどの暖かさではない傾向だ。このため、降雪量に大きな変化が見られず。1990年代から長期的に増加傾向にあるのは、地球温暖化に伴って日本海の海水温が高くなり、水蒸気の供給量が増したためだと思われる。それにくらべ北陸は、1990年代はじめにかけて降雪量が急減した。これは降雪量が減ったが気温の上昇で、降雨量に転化したものと見られるhttp://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/20th/1_3_4.htm。一般的に気温が上昇すると、海水温度も上がり、海から水蒸気が大気中に供給され、陸地で降雨や降雪となり、そのときの陸地の気温しだいで、雨になるか雪になるのかも変化する。これまで以上に雪の少ない地域が増えることは、本州で春から初夏にかけての雪解け水の減少となる。これは、冬のスキー場利用など、観光に影響を与えるばかりか、夏の水資源保全の影響も懸念される。首都圏の水がめとして知られる八木沢ダム(群馬県)は、新潟と群馬の県境に降り積もった雪が水資源を支えているからだ。雪不足は夏の水不足の心配につながり、融雪による河川への流量のピークが前倒しになることで、最も多くの水を必要とする田植えの季節に水不足がおきるという心配もある。

花見の時期

 次に、2009年のサクラの開花時期を見てみよう。

サクラの開花時期(2009年/平年、観察地点数)

      開花       満開
   2009  平年  2009  平年
1月    5    5     1    1
2月   0    0     4    4
3月   40    29    11   0
4月  14   24    42   52
5月  9   10     9    11



 開花日を見ると、2009年のピークは3月に集中し、全国の中位数も開花日は3月23日で満開日は4月5日の13.5日で、平年の開花日の3月31日と満開日4月7日の6,5日にくらべて、1週間早い開花でほぼ倍の開花期間となった。開花期間の状況は次のとおりである。

サクラの開花期間 (観察地点数)

      2009年 平年
4日以下   14    15
5-9日     18    48
10-14日   26     2
15-19日    7     1
20日以上   2    2

 平年は1週間程度のサクラの開花期間が、今年は2週間近くに延びたことがわかる。サクラの開花だけではなく、満開までの期間が延びたことは、3月に気温が低く、寒のもどりがあったためである。このため西日本でサクラが咲きそろわない現象が起きた。一方、東北と北海道は、4月の暖かさで平年より早く短いサクラの開花となった。例年は3月の菜種梅雨(梅雨のように曇りや雨のぐずついた天気が続く時期)が、今年は2月下旬に発生し、冬晴れが多いはずの2月に、東海から九州の太平洋側で天気がぐずついた。3月前半は4月並みの暖かさで桜の開花を早めたが、3月下旬にいったん寒の戻りがあった。4月は、まるで「五月晴れ」のような汗ばむほどの晴天がしばらく続いき、関東から九州で25度以上の夏日になったほか、大分や広島では30度以上の真夏日(4月19日)になった所もあった。東京も、4月は9日間連続(4月5日~13日)で晴れ、22年ぶりの記録更新(4月の無降水連続記録)となった。
 来年以降は、冬の降雪状況とも合わせてサクラの開花を見ていかないと、「花見の時期」が決まらないこともおきそうだ。
 サクラの開花は、気温だけではなく各地方の風土性をも現している。これからは地元住民も参加した長期的な生物指標観測が必要である。

参考:「日経ビジネスオンライン」2009年4月09日・2009年4月23日
修正:2009年5月14日、2009年5月15日、2009年5月18日

春眠の重なり

先週は気候が不順で、睡眠がうまく続かず、分割されていた。
昨日は、靴を購入した。遠出用だ。

●生態系守る「緑の回廊」
→ http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090427/149471/?ml
こうした視点が、都市マスタープランに反映されなければならない、

●リニア新幹線は品川始発でよいのか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090427/149393/?ml
2025年の開業を目標に建設ルートの選定などが進むリニア新幹線。中間駅の設置場所とともに関心を集めているのが、東京側の始発駅についてだ。JR東海は現段階で、品川駅を始発とする方向で最終調整を進めている。

東京・品川・新横浜の比較。品川-東京間のアクセスが問題とされているが、もはや上野は起点駅ではないのだろうか。

▼高島屋東京店や白岩堰堤砂防施設が重文指定へ
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090422/532174/
何が残されるべきか、もっと議論が必要である。

●莫邦富:まがいもの携帯で潤う深セン・東莞地区の電子情報産業
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090423/148845/?ml

 金融危機の嵐が吹き荒むなか、世界の工場という枕ことばがつく深センと東莞を回ってきた。統計の数字から見れば、中国経済は今たいへんな状況に陥っている。中国国家統計局の最新発表によると、今年1~3月の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比6.1%だった。記録が確認できる1999年以降で最も低い成長率となった。

「山塞」商品で生き残りを図るのは、一時期の日本と相似している。もっと分析記事が必要だ。

●ECO JAPAN/身近な気象から考える地球環境問題
 第10回 季節前倒し! 梅雨入りも早まるのか?
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20090422/101312/

 桜前線は東北地方から北海道へ駆け足で北上している。4月7日に仙台で、11日に山形、そして18日には青森でもソメイヨシノが開花。青森では平年より8日早い開花となった。
 例年であれば、桜前線はゴールデンウィーク(GW)中に津軽海峡を渡る(函館の桜開花の平年日は5月3日)が、今年はその前に北海道へ渡るだろう。

桜前線は、昨日、釧路まで到達した。「根室・釧路・稚内で開花、桜前線一斉ゴール」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20090510-OYT8T01027.htm


【BusinessWeek】
中国経済、大型景気対策が奏効し好転  国有銀行の潤沢な新規融資が活力源
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_39639_383356_145
財政出動の出口も向かう先も日本と異なる。1年もかからずに大きな格差が生まれよう。


●細野透:大水害が「もし」起きたら―― 東京の「地下鉄水没シミュレーション」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090501/150436/?ml
「地下鉄は高いところから水が来る」この当たり前のことが理解できた。

【時流超流】
プレミアム商品券狂騒曲  囲い込みに奔走する地方自治体
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_39854_384400_147
この記事は、地方自治体関係者に配布した。自治体間で施策効果の比較考量を行い、可能なら継続を検討すべきか。

岩谷忠幸:身近な気象から考える地球環境問題
第11回 オゾン層破壊は終わったのか?
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20090507/101360/?P=4
オゾンホールは大きくなっている。しかし、報道はまれである。

2009年5月3日日曜日

ベルク先生に学ぶ















Augustin BERQUE, Paris, 2002.

 ひょっとしたきっかけから、パリのオギュスタン・ベルク先生の近況を調べ始めたのが、4月28日で、本日、ようやく翻訳と訳注の校正が終わった。
 オリジナルのアブストラクトは、Problématique de l'écoumène 「エクメーネ(風土性)という問題」で、フランス語で511語、およそ3000字の短い記述なのだが、新しい概念が埋め込まれていて、2ページの原文が、5ページになった。しかも、フランスのAAR, Archives Audiovisuelles de la Recherche 研究用視聴覚アーカイブで元気な講義『エクメーネ、人間と風土の研究』を拝見できたのも、この翻訳を継続できた力になった。
 このアブストラクトは、今年4月23日に発表された文字どおりの最新情報である。
 とくに気をつけたのは、「風土主体」「風土客体」「ジオグラム」などの新しい概念で、これだけで1日をゆうに費やした。
 同時に、Buisiness WeekのWater Crisis 「水の危機」も翻訳し、23枚のスライドにまとめた。
 小さな勉強会で、5月7日にベルク・アブストラクトを発表する予定である。
 この間に、外はツバキが咲き終わり、ジャスミンが咲き始めた。