
金正日と人工衛星/ミサイル計画の科学者・技術者たち(『ジャパン・フォーカス』から)
朝から考えさせられてしまった。
『ジャパン・フォーカス』誌のニューズレターを読んだからだ。
The Asia-Pacific Journal: Japan Focus Newsletter
Newsletter No. 20. 2009
May 18, 2009
とくに、グレゴリー・トローラヤ「新たな朝鮮半島の冷戦と緊張緩和の可能性」を読んだからだ。
Georgy Toloraya, “The New Korean Cold War and the Possibility of Thaw” The Asia-Pacific Journal, Vol. 19-1-09, May 9, 2009.
http://www.japanfocus.org/-Georgy-Toloraya/3136
以下、拙訳で部分を紹介する。
(前略)
何十発ものミサイルやロケットが世界で宇宙に打ち上げられているときに、世界最貧国が10年に1度のロケット打ち上げを、日本のパラノイアだけが「敵」と呼ぶことで、世界的な問題の焦点となった。そのため、もっと深刻な2月のイランの人工衛星打ち上げ成功は問題にもされなくなった。
北朝鮮は、協力者なしで国内の「引き締め」に成功し、世界の注目を集めることにも成功した。それで、国連安全保障理事会議長声明における中国とロシアの「裏切り」による不快感を隠さなかった。平壌は、六カ国協議から日本と韓国を除いて意思決定はできない。米国は遅かれ早かれ、平壌と対話を再開しなくてはならない。そうしなければ、新たな挑発が続く。
次は何か? 国際社会は、アメリカと北朝鮮の対話を待たなくてはならないようだ。平壌は、オバマ政権の関係する初心者を「飼いならし」、将来の譲歩のための利害関係を吊り上げるために、ワシントンの非難を始めた。協議の遅延は、北朝鮮の(燃料棒再処理による核実験や、ミサイル演習、たぶん国境における韓国との衝突の可能性で)利害を高める。全員が好まないにせよ、北朝鮮の核保有のステータスは現実のものとなり、国際的な核拡散防止のための朝鮮半島の非核化が議事事項にならなければならない。
いくぶん皮肉に聞こえるかもしれないが、アメリカ政府は、いま朝鮮問題についての総合的で新しいユニークなアプローチの可能性を持っている。第一に、平壌の存続を前提とした米朝の共生関係の成立である。北朝鮮の将来の暗黙の承認と、圧力の緩和が効果的である。(逆説的にこうした緊張緩和だけが、将来の自由主義経済への移行に伴う穏やかな政権転換への道を可能にする)。こうした新しいアプローチは、「しっぺ返し」なしに、高いレベルで平壌に示されるべきである。ただこの後だけで、朝鮮半島の非核化と非軍事化という長期の目標に向けた討論が始まろう。
(後略)
(訳注)トローラヤは、2008年の金正日の健康不安と韓国批判の強化、2012年の北朝鮮の「強盛大国」目標についても示唆した。
「ふーん」とうなるしかない。韓国・朝鮮問題で日本のトップである産経の黒田勝弘記事「【北ミサイル発射】強盛大国へ焦り ポスト金正日への布石(2009.4.5 21:03)」http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090405/kor0904052104021-n1.htmとも異なる見解である。
対イラン政策の変更をふくめた「ならずもの国家」群への全面的対応の変化となると時間がかかる。とはいえ、夏休み前には準備がされるであろう。
トローラヤ論文掲載写真「金正日と人工衛星/ミサイル計画の科学者・技術者たち」を拡大してみると、いろいろなことがわかる。
金正日自身のほおがこけおち、いつもの白いジャケットを着なければ体型の変化が容易に見て取れる状態だ。
女性は、4人で、三列目中央の3人は、白い上着を着て中央やや左で髪を分けた同じデザインだ。関係の科学者か。それにくらべて、二列目の女性は金正日の背後から整ったヘアスタイルで化粧もしっかりしていて目立つ。高級幹部の子女か。明らかに他の3人よりいい栄養状態だ。
「強盛大国」という「先軍政治」の国なのに、めずらしく軍服姿が映っていないのも、「人工衛星発射」を強調したいがためか。
中国の反応だが、トローラヤ論文と基本的に同一スタンスと見ていい。外交部の姜瑜報道官の 2009年4月9日の定例記者会見で、朝鮮半島の非核化のためには圧力ではなく、関係者の外交努力の継続を希望する、という発言がそれを示す。過去6年間の六者会談の成果を強調し、朝鮮半島と北東アジアの平和的安定のために、六者会談の継続を示唆した。
http://news.sina.com.cn/c/2009-04-09/184217578110.shtml
4月14日に北朝鮮外務省は、六者会談からの一方的な脱退を宣言した。同日、中国外交部の姜瑜報道官は定例記者会見で、関係者は大局を見て、冷静になり、六者会談を共同で維持しよう、と述べた。
http://video.sina.com.cn/news/c/v/2009-04-14/193434740.shtml
中国メディアは、北朝鮮のミサイル発射写真と、ミサイル一段目切り離し時点のアメリカの衛星写真、海上のアメリカ軍の偵察基地の映像を関係各サイトで発表している。
先週末の日本メディアの論説で北朝鮮問題に対する日本政府の外交努力が問われたが、そこに現れたレベルより深いところで、北朝鮮はシグナルを送っているようにも見える。当分は、関係各国の情報から目が話せない。
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